基本情報
首都: ワシントンD.C.
人口: 約3億3600万人(2024年時点)
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1.通信社
News agency
AP通信 (Associated Press)
1846年メキシコ戦争のニュースを迅速に伝えることを目的に、ニューヨークの5つの新聞社が、馬を使った速達サービスを提供するための基金を設立したのが始まりとされている。新聞社が個別で情報を収集するのは莫大なコストが掛かった為である。その後基金を拠出した新聞社を中心に協同組合「New York Associated Press」が発足され、これが現在のAP通信の前身となった。設立当初のワシントン支局長は「私の仕事は事実を伝えることだ。コメントを加えることは許されない」と述べており、この中立性の原則が今日に至るまでのAP通信の根幹をなしている。
約100ヵ国に支局を持ち、イギリスの『ロイター通信』フランスの『AFP通信』と共に世界三大通信社と呼ばれ、歴史的瞬間を捉えた数々の写真でピューリッツァ賞も多数受賞している。
Bloomberg(ブルームバーグ)
1980年に元投資銀行ソロモン・ブラザーズのトレーダー兼パートナーマイケル・ブルームバーグが設立した経済・金融情報サービス企業。彼は社内での対立からソロモン・ブラザーズを解雇され、後にIBMからの資金援助を受けて「Innovative Market Systems(IMS)」という社名で会社を設立。リアルタイムの市場データ、ニュース、分析ツールを提供する「ブルームバーグ・ターミナル」の販売を開始。これが現在の「Bloomberg」の母体となる。その後現在の「ブルームバーグニュース」を始めとする様々な経済・金融系メディア事業を展開する。
2.新聞社
Newspaper
The New York Times
1851年二人のジャーナリストヘンリー・ジャーヴィス・レイモンドとジョージ・ジョーンズによって創刊された。党派的・扇情的な新聞が主流だった当時のメディアにおいて、客観的・中立的なジャーナリズムを追求することから始まった。1870年代にはニューヨーク市の腐敗した政治組織「タマニー・ホール」を巡る報道で、ジャーナリズムの独立性と権力監視の重要性を示した。後に、現在の経営者でもあり、1890年代に経営危機に瀕したニューヨークタイムズを立て直したオックス家が掲げた「All the News That’s Fit to Print(報道に値する全てのニュースを)」は、近代ジャーナリズムに立脚する本誌の理念となった。
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The Washington Post
1877年にジャーナリストのスティルソン・ハッチンスによって創刊された日刊紙。本拠はワシントンD.C。当初から政治ニュースを中心に扱っており、ハッチンスが民主党員だった為、民主党寄りの論調であった。1896年には経営難に見舞われ、後にハーバード・フーヴァー(共和党)の下でFRB議長を務めたユージン・メイヤーによって買収され、その後メイヤーの娘キャサリン・グラハムに引き継がれる。彼女は「ペンタゴン・ペーパーズ(米国のベトナムへの政治的および軍事的関与を記した文書)」「ウォーターゲート事件」でも政府の圧力に屈することなく、男性中心の社会で「報道の自由」を守り抜いた女性として知られている。2013年「Amazon」の創業者であるジェフ・ベゾスによって買収される。
サマリー機能が付くほどコメント欄が活発であり、アメリカ社会の世論形成に大きな影響力を持っていることが覗える。
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USA Today
1982年大手メディア企業ガネット(Gannett Co., Inc.)によって創刊された全国紙。「灰色の貴婦人」と呼ばれた『The New York Times』に対して、USA Todayでは「カラフル革命」を掲げ、”早く、楽しく、要点をつかむ”をコンセプトに展開した。運営元のガネットは、Arizona Republic(アリゾナの主要紙)、Indianapolis Star (インディアナ州の主要紙)など43州でローカル紙を展開している。”シンプルさ”を”わかりやすさ”の基調としている。
New York Post(ニューヨーク・ポスト)
1801年にアメリカ合衆国建国の建国の立役者の一人であるアレクサンダー・ハミルトンが「The New-York Evening Post」をルーツとする米国の代表的なタブロイド紙。ブロードシート(大判)で発行されており、本格的な機関誌の役割を担っていたが、数度の変遷を経て1942年に現在の判型となり、1972ロンドンの『The Sun』で成功したニューズ・コーポレーションのマードックによって大衆紙となった。現在もニューズコーポレーションの子会社ニューズ・コープの傘下にある。
The Wall Street Journal (WSJ)
1882年チャールズ・ダウとエドワード・ジョーンズによって設立された、ウォール街のトレーダー向けに手書きの速報(「フリムジー」と呼ばれた)や日刊の要約「Customers’ Afternoon Letter」を配信する会社、ダウ・ジョーンズ・アンド・カンパニーに始まる世界で最も影響力のある経済専門誌の一つ。日刊紙。1889年に現在の「The Wall Street Journal」が創刊され、ここから今日でも”ダウ平均株価”として知られる「ダウ・ジョーンズ」が誕生する。WSJは現在もニューズ・コーポレーションを親会社とするダウ・ジョーンズ社によって発行されている。
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3.出版社
Publisher
TIME (タイム)
1923年イェール大学の卒業生ブライアン・アーズレイ・ホートンとヘンリー・ルーシーによって、世界で初めてニュースを週刊形式で要約して提供することを目指して創刊されたニュース週刊誌。情報過多の時代において、多忙な読者が世界の重要なニュースや出来事を効率的に把握できるようにする為の試みで、簡潔かつ客観的なスタイルを重視した。1927年から毎年恒例となっている「Person of the Year」は、その年で最も影響力があった人物(または集団、概念など)を表紙に掲載する企画で、タイム誌の象徴的なイベントとなっている。
将来的に有料購読モデルが復活する可能性もあるが、現時点ではペイウォールは撤廃されており、世界中の人が無料で読むことが出来る。
The New Yorker (ザ・ニューヨーカー)
1925年ハロルド・ロスと彼の妻ジェーン・グラントによって創刊された。当初は、ニューヨークの都会的な読者をターゲットに、ユーモア、風刺、都市生活の観察、そして厳選されたフィクションや詩を提供することが目的だったが、しかし、創刊号の宣言文で「これは、地下鉄に乗りながら読むような雑誌ではない」と述べ、速報性よりも質と洗練されたスタンスを追求する姿勢を示し、まるで一つのエピックの様に読んでいるだけで頭に入ってくる、今日「ニューヨーカー的」と呼ばれる独特で知的なスタイルの皮切りとなった。
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Newsweek (ニューズウィーク)
1933年元『TIME』の編集者トーマス・J・C・マーテルが、1929年の株式市場の暴落(暗黒の木曜日)から始まる大恐慌の最中に興した週刊誌。TIMEと同じくニュース週刊誌であり、長らくTIME誌とはライバル関係にあった。恐慌の中でマーテルがTIMEを離れたのは、TIMEのビジネスモデルに可能性を感じていたからであり、ジャーナリズムの対立が直接の原因ではなかったとされている。
現在ではTIMEと同じくペイウォールを撤廃しており、ほぼ全てのコンテンツに無料でアクセスすることが出来る。またオンライン版では、”公平性メーター”というものが導入されており、記事の公平性を視覚的に把握することが出来る。
People (ピープル)
1974年にタイム・インク(現ワーナー・ブラザース・ディスカバリーの一部)によって創刊された週刊誌。ハリウッド・スターやポップカルチャーなどに焦点をあて、「TIME」とは異なり、より大衆を意識した雑誌。1980年代から1990年代にかけてのセレブリティ文化を牽引した存在。
Forbes (フォーブス)
1917年スコットランド出身のジャーナリストB.C.フォーブスによって創刊されたビジネス系の週刊誌。当初の雑誌名は「Forbes: Devoted to Doers and Doings(行動する人々と思いを巡らす人々に捧げる)」。経営者のリーダーシップ、企業の戦略、そして富を築く人々の物語に光を当てることで、他のビジネス誌との差別化を図ってきた。特に「世界長者番付(The World’s Billionaires)」や、有力企業を選定した「Forbes 500」(後に「Forbes Global 2000」)などの富豪・企業ランキングで知られている。
National Geographic (ナショナル ジオグラフィック)
1888年にワシントンD.C.で設立された「ナショナル ジオグラフィック協会(National Geographic Society)」の公式ジャーナルとして始まった月刊誌。当初の目的は「地理的知識の普及と促進」で、学術論文がメインであったが、1899年に編集長に就任したアレクサンダー・グラハム・ベル(電話の発明者)の娘婿であるギルバート・H・グローヴナーが、カラー写真を早期に導入したことで、本誌の象徴的存在となった。その後のテレビの普及や、現在のインターネット社会の到来と共に、映像の力を背景とする豊富なコンテンツを各所に展開している。
4.オンラインメディア
Online media
HuffPost (ハフ・ポスト)
2005年にA.ハフィントン、K.レラー、A.ブライトバート、J.ペレッティ(Jonah Peretti)によって設立された。従来のニュースサイトとは異なり、当初は、リベラル寄りの論調を持つブログの集合体としてスタートし、著名なブロガー、コラムニスト、学者、政治家が寄稿した記事を掲載することで、「ブログ+ニュース」という新しいモデルを確立した。後にアメリカの大手ブロバイダサービス会社AOLによって3億ドルで買収され、現在はAOLと共にYahoo.incの傘下にある。
Axios (アキシオス)
2017年に『POLITICO』の共同創業者であったJ.ヴァンデハイ、M.アレン、R.シュワルツによって設立された。記事を短く、要点を絞って書くブレット・ポイント(箇条書き)式の記事が最大の特徴。スマートフォンでニュースを見るユーザーの増加を受けて、スマートフォンからのアクセスに特化した設計となっている。
POLITICO
2007年に設立されたワシントンD.Cに本拠を置く政治に特化したオンラインメディア。ロバート.L.オールブリットンの資金援助を受けて、元『The Washington Post』の編集者ジョン.F.ハリスによって創設された。後に同じくワシンポストに在籍していた著名な政治記者であるマイク・アレンが加わり、彼の執筆する日刊ニュースレター「Playbook」は『POLITICO』の主要なコンテンツとなっている。
The Daily Beast
『ヴァニティ・フェア』や『ニューヨーカー』といった著名な雑誌の編集長を歴任し女性記者ティナ・ブラウンが創設したオンラインメディア。ゴシップ、政治、文化の交差点にあるような、やや扇情的でありながらも洞察に富んだ記事で注目を集めた。似た傾向の老舗週刊誌『Newsweek』と2010年に一時合併したが、後に分離している。既存メディアが報道しない様な、”野性的な”観点から、という意味を込めて”Beast”と名付けられた。
5.放送局
Broadcaster
CBN
1927年に設立されたアメリカで最も歴史のある放送局の一つ。コロンビア放送(Columbia Broadcasting System))。ラジオ放送局「ユナイテッド・インディペンデント・ブロードキャスターズ社(United Independent Broadcasters, Inc.)」を前身とする。音楽エージェントのアーサー・ジャドソンによって設立され、タバコ会社「ラ・パリナ」のオーナーの息子で、ウィリアム・S・ペイリーが出資した。ペイリーは広告主が番組全体のスポンサーとなる現在の広告収益モデルを確立したとされている。2005年にメディア大手バイアコム社と一度合併し、その後2019年に再び合併。現在のパラマウント・グローバル社となった。しかし”CBS”というブランドだけは残り、アメリカで誰もが知るロゴマークの一つ「アイ・ネットワーク(The Eye Network)」は今も健在である。
NBC
National Broadcasting Company。1926年にアメリカの大手電機メーカー、RCA (Radio Corporation of America) によって設立された。全国区の放送局としては世界初である(世界初の商業ラジオ放送は現存する放送局KDKAの1920年とされている)。第二次世界大戦後にテレビ放送局へと事業拡大させ1950年代に一早くカラーテレビの導入に踏み切った。NBCを象徴するピーコック(孔雀)は鮮やかなカレーテレビをイメージしている。NBCは総合的なテレビ局であり、NBCnewsはそのニュース専門チャンネルである。同じロゴのMSNBCはMicroSoft(後に撤退)とNBCが共同で立ち上げたケーブルテレビ版のニュース専門チャンネルである。大まかな括りとしては、NBCnewsは中道保守寄り、MSNBCはリベラル寄りとされている。なお”National”とあるが完全な民間企業であり国営ではない。
ABC
1940年代、アメリカ連邦通信委員会(FCC)がNBCの独占を防ぐ為に、NBCの教育番組部門(ブルーネットワークと呼ばれるNBCの主要なネットワークの一つで、ブルーネットワークに対して娯楽部門をレッドネットワークと呼んだ)を売却させた。そしてこのブルーネットワークを買い取った実業家のエドワード・ノーブルが1943年に「ABC(American Broadcasting Company)」として再出発させた。しかし当初は資金繰りも経営も厳しく、NBCやCBSとの激しい競争に晒されていた。転機が訪れたのは1950年代ウォルト・ディズニーの「Disneyland」の放送開始である。ディズニーの人気に押し上げられる形でABCも躍進し、CBS,NBCと並ぶ三大放送局としての地位を確立させた。
CNN
CNN(Cable News Network)は、1980年アメリカのジャーナリスト、テッド・ターナーによって設立された。彼は「24時間ニュース専用チャンネル」という空前のアイデアを掲げて小規模な放送局として出発した。当時はニュース番組は朝と夜と限られた時間のみであり、資金力も乏しい彼の試みは嘲笑の的であった。しかしこれを覆したのが1991年の湾岸戦争である。CNNは紛争地域に特派員を送り続け、特にリアルタイムの空爆の映像は全世界に衝撃を与えた。現在は「ワーナー・ブラザーズ・ディスカバリー」の傘下にあり、世界中のニュースを24時間体制で報じるグローバルなニュースメディアとして活動を続けている。
FOX
FOX News Channelは、映画・テレビ制作会社の20th Century Foxや、新聞社を所有する大規模なメディア複合企業を築いていたメディア王ルパート・マードックによって1996年によって設立された。設立の背景としては、当時NBC、CBS、ABC、CNNといった既存のニュースネットワークが左派寄りになっていたことに対する保守派の不満があった。マードックは、この層をターゲットに、保守的な視点から24時間をニュースを伝えるチャンネルを創設した。現在もこの路線は踏襲されており、明確な共和党指示など政治系メディアの象徴的な存在として知られている。
PBS
1969年に設立されたアメリカの非営利の公共テレビネットワーク。商業放送であるNBC、CBS、ABC、Foxなどとは異なり、政府からの資金援助や個人の寄付、企業からの助成金によって運営されている。設立の目的は、商業放送ではカバーしきれない、教育的、文化的な価値の高い番組を提供することであった。全国に350箇所ある地域的な公共放送局の中心を担っており、番組の制作と配信をPBSという名の下で管理する体制を築いている。
6.機関誌
Magazine
Nautilus(ノーチラス)
2013年にジャーナリストのジョン・スティールによって設立された非営利組織「Nautilus Think Inc.」が発行する、科学、哲学、文化をテーマとするオンラインマガジン。各号が特定のテーマ(例:「宇宙」「時間」)に沿って構成され、科学と芸術、哲学を融合させた物語的なジャーナリズムを特徴としている。専門分野を超えた知識のつながりを探求し、読者に新しい視点を提供することを基本方針としている。名前の由来はジュール・ヴェルヌの小説『海底二万里』に登場する潜水艦ノーチラス(オウムガイ)。
